企業が正社員を雇わないのは社会保障費を支払いたくないから

企業が正社員を雇わない理由。これは社会保障費によるものです。
企業は現在、大きな負担を強いられています。
正社員には給与だけでなく、厚生年金や健康保険等の負担があります。

派遣社員に比べてこれだけでも大きな負担ですが、企業はこれ以外にも大きな負担を強いられています。
現在でも残っている年功序列の制度です。
20代に比べて、40代、50代は2倍近く給与があります。
しかし、ほとんどの社員はそこまで企業に貢献していません。
20代の正社員を雇ったとして、現在は大きな負担増にならなくても、20年後には高給になり、大きな負担になります。
対して、雇うのが派遣社員であれば、20年後も今と同じ給与で済みます。

これについては簡単な解決策があります。
40代の給与を20代並みに下げればいいのです。
実際給与を下げるのが合理的で妥当な判断でしょう。

しかしそうはできない理由があります。
40代の社員には子供がいます。多くは高校や大学といったお金がかかる時期です。
もし給与が削減されれば、中退しなければなりません。
進学を諦める場合もあるでしょう。
それでは困る。だから正社員を保護して高い給与を保証します。

ここで問題になるのは、先進国中でも最低レベルの国の教育費負担です。
本来国が税金によって面倒をみるべき教育費の負担を国はしていません。
その代わり、企業に、社員への高い給与を支払わせることで、教育費を負担させているのです。

正社員を簡単に解雇、減給できない以上、年功序列賃金という名目で、社会は正社員の人数に比例する社会保障費の負担を企業に強いていると言えるでしょう。

こう考えると、企業はとんでもない額の社会保障を負担していることがわかります。
支払いを逃れるために非正規社員を増やすのは当然です。

現在年金や高齢者医療費、介護費用は伸び続けており、誰かがそれを負担しなければならなくなっています。

年間で労働者一人当たり150万とか200万という負担が増えなければ成立しません。

誰がこれを負担するのか。
明確な答えがないまま、借金だけがどんどん膨らんでいます。
社会全体で負担するべき問題ですが、現状では一部が奴隷のように働かされてしまう可能性が高い。

企業はババ抜きをしているのです。正社員をたくさん雇えば、それがジョーカーになる危険性が高い。
ジョーカーを握ってしまった場合のリスクがあまりにも大きいのです。企業は倒産の危機に直面し、社員は生き地獄のような状況で働かされるでしょう。

解決策は明確なのです。支える人数が少なすぎるならば、支えられる側で支える体力のある者が支える側に回るしかありません。75歳くらいまで年金の支給開始を遅らせるか、働く体力がなくなったときに支えられる側に回るという仕組みに変えれば成立します。

「子供を1人しか育てられなかったら、老後に子供から扶養してもらうのは難しい。できる限り自分で働いて、稼ぐようにしよう。」

同じことを社会全体が意識すればいいのです。

こんなことは20年も前に議論されなければならなかったこと。それを今まで先延ばしにした政治の怠慢は非難されるべきでしょう。