年功序列賃金が作る負の連鎖
日本の社会では年功序列賃金という制度が根深く残っています。
これはすでに崩壊しかかっているのに、上に乗っかって利益を得る一部の人の既得権益を守るために無駄な(というより有害な)延命措置が取られています。
年功序列賃金とは、若い間は賃金を安く抑えられるが、高齢になるに従って賃金が上がるシステムです。
年齢が上がると子どもの教育費が高くなって来るからそれに合わせて給与も増やそうという、いわば自発的な社会保障制度とも言えます。
しかしこの制度はすでに半分沈没していると言えるでしょう。
企業が平気でリストラするようになってしまったからです。
保険に例えるなら、子どもにお金がかかる時期に保険金が支払われる保険に入っていて、実際に保険が支払われるかどうかの決定権が保険会社にあるようなものです。
こつこつと貯めた資金が「保険会社の意向です」という理由で打ち切られるとして、そんなものは保険と呼べるでしょうか。
そんな沈没しかけの船でも、最後までしがみつき、利益を貪りたい人間によって延命措置がとられています。
そのツケは、社会全体で支払わされているのです。
例えば、20年後に給与が高くなるとわかっているから企業は若い正社員を雇おうとしません。結果若者は不安定な非正規雇用を余儀無くされます。
雇ったとしても、ブラック企業と呼ばれるような過酷な環境を強いて来ます。20年後に高くなるならば、20年経つ前に辞めるようにすればいいのです。
年功序列賃金は、現在の社会情勢では、最後まで運良く生き残った人だけが安泰な暮らしを約束されるという、差別制度に成り下がっています。
しかし、運良く最後まで残っている人もいい人生かと言われれば疑問符でしょう。
リストラ競争で生き延びるためには死ぬほどサービス残業をせざるを得ません。
家族と過ごす時間はほとんど持てず、ほとんど仕事漬けの毎日を送るしかないでしょう。
企業側から見ると、このような状態は一言で言い表すことができます。
「業務効率化によって人件費を削減できた」
こんな社会が幸せと言えるでしょうか。