年金制度の問題

老夫婦がいます。子は一人っ子。結婚していて孫もいる。

老夫婦は定年を迎えて収入がなくなります。
そこで、子を交えて家族会議を開きました。

「私達夫婦は、これから先暮らして行くことは困難です。そこで子に扶養してもらう必要があります。
月30万円の仕送りを希望します。賛成の人は手を上げてください。」

「2名の賛成がありましたので多数決により支払いを決めます。子は来月から支払われるように手続きしてください。支払われなかった場合は給与や資産を差し押さえます。」

そんな無茶苦茶な、、と思いますが、今国家レベルでは平気でこんな理屈が通っています。

1.5人の現役世代で一人の高齢者を支えるという時代がもうすぐ来ます。これは、夫婦で1.33人を支えるということです。
医療費や介護費用まで含めると、高齢者の生活を支えるには一人あたり平均月20万は必要でしょう。

つまり、現役世代が高齢者を支えるには夫婦で月30万円弱の経済的負担をしなければならないということです。手取り15万として、給与から天引きにされると共働きでも全く残りません。

年金制度は、この単純な算数によって既に破綻しています。
気付きたくない多くの人と、気付かせたくない一部の人によって無駄な延命措置が続けられているだけです。

本来年金制度とは、支える側の支払い能力と、受け取る側の最低限受け取らなければならない額との間のバランスで成立します。
受け取る側は、支払う側の支払い能力を超えて請求することはできません。
国家財政がこれだけ急激に赤字を膨らませていることを見ても、既に現役世代が支えられる上限を、受け取る額が大きく上回っていることは明らかです。
ところが、現在の制度では、受け取る額だけが一方的に法律で決まっていて、選挙によってそれが承認されている状況です。
少子化によって若者が減っていることを逆手に取った乱暴な理屈です。

この理不尽な支払い要求によって、社会全体が悲鳴を上げています。国は財政危機に陥り、少子化対策にお金を費やすことができません。社会保障の負担が大きいため、企業は国際競争力を維持できなかったり、社員の給与を減らさなければなりません。
若者は経済的負担から結婚や子育てが困難になり、結果更に少子化を進行させます。

高齢者は、自分が年金を受け取っていること自体が、子や孫の職を奪い、結婚や子育ての機会を奪っているという事実をきちんと認識すべきです。

そして、「支払う側がいくら支払えるのか」という視点で議論を始めなければなりません。
このまま進めば、いつか支える側が支えるのを拒否するという事態になるでしょう。