ガラパゴス化

ガラパゴス化と言われる。
ガラケーの昨日は世界標準から離れているとか、軽自動車の仕様は世界のニーズに合致していないとか。
しかし、その機能についてはガラパゴスとは言えないように思います。
「携帯で可愛い絵文字メールをやりとりしたい」「おサイフケータイのような便利な機能を使いたい」と感じるのも、「コンパクトで軽量な、安くて燃費がいい自動車がほしい」と思うのも、世界中の人が等しく感じていることです。ニーズは確実にあるだろうし、見えないならば発掘すればいい。

ガラパゴス化してしまったのはむしろ技術面です。
外国人も絵文字のメールを送りたかったが、その技術的ハードルがあまりに高いゆえに他国では導入できなかったというのが実状です。
実際、日本人は標準仕様をつくり、それを公開していくということが全くできません。携帯でも細かいモジュール仕様の標準化とその積極的な公開が行われていれば、ガラケーは世界中で売れていたでしょう。

私などは研究で使う部品をDigikeyなどでよく探しますが、できる限り日本の企業の部品は避けます。
日本の企業なら日本語の資料が充実しているし、何かあった時も問い合わせしやすいように思いますが、実際はそうはいかない。
問い合わせを受けることを前提にしているから、公開されている資料があまりに少ないのです。海外の企業は、ICを一つ選ぶとデータシート、ユーザーマニュアル、テクニカルノート、サンプル回路図、そのBOM、CADデータ、部品ライブラリに至るまで膨大な資料が手に入ります。設計時には大いに参考になりますし、不具合があった場合はその情報を元に自己解決できる可能性が高い。
日本の企業も大企業ならそれなりには公開していますが、それでも情報が少ない。日本語という言語の持っている弱点・・・多くの省略を含むことや文字あたりの情報量が少ない点・・・も悪い方向に作用しているでしょう。

もう20年も前に、PC98がMicrosoftに敗北したあたりからこの傾向は大きな問題点となっています。しかし一向に改善されない。
日本の企業には公開したいと思っている人が誰もいないんじゃないかと思います。
標準化して仕様を公開すればその不備や技術の未熟さを批判されてしまう。技術者は公開したくない。
公開すれば自社のノウハウも同時に流出する。上の人はそういうリスクを取りたくない。
日本の企業の評価は減点法なので、減点につながる可能性があることはできる限りやりたくないのです。

批判を受けてもそれを改善していく努力の中で高い技術力が身につけばいいし、
一旦は公開することでノウハウが流出しても、最終的にはより大きなリターンが返ってくる。
そういう加点要素は、日本の企業では一切評価されません。