未来予測:ロボット

ロボットの未来とはどんなものでしょう。

鉄腕アトムのようなロボットが実現されるかと言われれば、残念ながら不可能ですと答える他ありません。

二足歩行ロボットは確かに実験室レベルでは成功していますが、それを実現するためにはたくさんの関節を作る必要があり、その一つ一つに電源を供給し、駆動系を組み込み、センサーで状態を把握し、外部からの制御信号に対して適切に動作する制御系を構築する必要があります。
ASIMOくらいの規模にはどうしてもなります。量産化しても一千万円以下にするのは難しい。
二足歩行ロボットは、これから先も展示会場でだけ見かけるロボットでしょう。

人間の手の動きを精巧に再現するロボットも、価格面から量産は難しい。

人の感情を理解するロボットも、上記に比べればハードルは低いと思います(例えば量子コンピューターを使って)が、可能性としてはほとんどありません。

こう言うと「ロボットには未来はないのか」と思えますが、そういうわけでもありません。

目的に特化したロボットはこれから先どんどん身近になっていくでしょう。
ルンバのようなお掃除ロボットはその先駆けですが、似たようなロボットが生活の一部になっていくという例は今後も増えていくでしょう。

しかし、ロボットがもたらす最も大きい変化は、産業(農業、工業、水産業)の変化ではないかと思います。
今開発されているロボットの多くは、人家に置くには大きすぎますが、オフィスや工場に置くにはよく適合します。入る者が限定され、その者には適切な教育を施すことができるような場所での利用は、ロボットの性質にも合います。

例えば製造工場。今は巨大な敷地内でベルトコンベアに載って製品が運ばれ、それに人間や産業用ロボットが作業をしながら流れ作業で生産します。この方式が無くなるとは思いませんが、ロボットの普及が進めば全く違ったタイプの工場も主流になるでしょう。

比較的狭い敷地で複数の業務をこなすロボットが、自由に動き回りながら指示された業務をこなしていくという形です。人がこの方式で作業するとミスが多く発生して全体の効率を大きく下げますが、ロボットならば忠実に、誤りなく作業を行うことができます。作業に柔軟性があるため、少量多品種の生産に向いています。都市部の狭い敷地でも生産可能なので、消費地のすぐ近くで組み立てることによる輸送コストの低減も期待できます。
BTOパソコンの生産などは恩恵を受ける典型的な例です。

ロボットも人間と同じで得手不得手があります。
例えば介護の現場はロボットにとっては苦手な作業です。
家事を代行するのも苦手でしょう。
そういう、人間にしかできない作業には人間が携わり、ロボットにも可能な作業をロボットが負担するようになるでしょう。